13.8 G1 観戦記

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日本の夏、G1の夏…そういわれて20数年、今年は例年にないほどの酷暑の夏になった。G1も酷暑にふさわしい暑い熱い戦いが繰り広げられた。参加選手が20名でA.B各ブロックに分かれ11日間で9試合、優勝するにはもう1試合という過酷な大会だ。しかも浜松~東京~名古屋~大阪~金沢~仙台~横浜~両国2連戦、と巡業しながら休みは2日しかないのである。

例年、開幕後の後楽園と優勝決定戦の両国大会は参戦してきたが、最近の大会場の集客ぶりを見ると例年以上に早めにチケットを手配しないとマズそうだ。何とも嬉しい不安だ。YTR選手にお願いするとしても早いに越したことはないので5月末から常連の仲間を中心に声をかけたのであったが、さすがに早過ぎたのか反応は鈍く「まだ出張の可能性があり分からない」という類の返信が多かった。
そんな時はこう思う。「毎年この時期にG1があるんだから、最初から出張の予定を外しなさい!」と。後楽園大会は金曜の夜なので…。大体その辺で後楽園があるって分かるだろうに…といいながらほぼ例年並の7名参戦、最終日の両国も6 2名参戦した。
それにしても両国2連戦は集客面で大丈夫だろうか?最終日は超満員にはなるだろう。問題は前日だ。その昔は両国3連戦や7連戦も開催してきたが、最近は下手をすれば6,000人台だ。翌日の超満員を考えると、奥の手「入場ゲート」作戦(で客席スペースを割く、ていのいい作戦)もできない。いわば新日に本当に“金の雨が降っているか?”、試されている訳だ。
そこで新日も考えた。最終日もリーグ戦があるが、前日の両国初日に「より好カード」を持ってきたのだ。
今大会はそういう「シフトカード編成」をした感が強い。明らかに苦戦必死の横浜大会は捨てカードにし、またいつでも入る名古屋大会より大阪大会のカードを重視した感じである。その結果はある程度功を奏したといえる。各大会の観衆結果と注目カードを示すと
①8.1 浜松アクトシティ 3,200人超満員札止め 内藤vs高橋、永田vs鈴木、オカダvsデヴィット
②8.2 後楽園ホール 2,015人超満員札止め 内藤vs飯伏、中邑vs鈴木、後藤vsオカダ
③8.3 愛知県体育館 7,500人超満員 永田vs内藤、中邑vs矢野、真壁vs柴田
④8.4 大阪府立体育会館 6,700人超満員札止め 石井vs柴田、棚橋vsデヴィット、中邑vs飯伏
⑤8.6 石川県産業展示館 2,000人満員 永田vs飯伏、中邑vs高橋、棚橋vs真壁
⑥8.7 仙台サンプラザホール 2,950人超満員札止め オカダvs柴田、柴田vs中邑、棚橋vs後藤
⑦8.8 横浜文化体育館 5,500人超満員 柴田vsデヴィット、オカダvs石井、真壁vs小島
⑧8.10 両国国技館 8,200人満員 飯伏vs鈴木、内藤vs中邑、棚橋vsオカダ
⑨8.11 両国国技館 11,500人超満員札止め 矢野vs鈴木、アーチャーvsスミス、棚橋vs柴田
となった。
石川大会はやや苦戦だったが懸案の横浜大会はこんなカードだったがいつになく大観衆を集めた。ゲスト解説で小橋が来た効果かもしれないが…。
そして両国1日目。数字を見るとやや寂しいが、初日としては及第点だ。本当はこのカードに加え「柴田vs後藤」があったのだ。JTが緊急参戦した理由はカードの充実振りだったのだが、その注目カードが1試合無くなったのは残念だった。
実はG1の翌週、飯伏がエースのインディの勇、DDTプロレスが土日両国2連戦を敢行したのだ!しかも初日8,500人超満員、2日目9,000人超満員札止め、2日間で17,500人もの観衆を集めたのだ。これはもうメジャー級である。確かに多彩な客寄せゲストが参戦した。初日は坂口憲二がセコンドにつき(試合にもスクランブル発進してドロップキックや父親譲りのアアトミックドロップを披露した!)、新田恵利(び、微妙…)、LiLiCo、筋肉少女帯(因みに男です)にウルトラマン達が参戦もあったが、メインは飯伏vs男色ディーノだ。2日目は赤井英和の娘、赤井沙希のデビュー戦、曙、健介の参戦、Wメインは何と飯伏vsオカダ・カズチカと入江vsHARASHIMA(誰だ?)である。きっと新日ファンとは客層が違いそうなので、何はともあれ2週4日間で3万数千人が観戦したと思うと関係者としては(え゛っ?違うか)DDT大健闘を称えない訳には行きません。
さてG1に戻します。
今大会は優勝決定戦の日は当日深夜のGet Sportsでのオンエアに加え、何と映画館でのライブビューイングも実施した。ついでにYTR選手のお店EBRIETASではCS放送無料生観戦もできたので、初めてオーナー不在の日に“お店に参戦”し仙台大会を堪能した(8月8日ブログ参照)。
映画館の集客結果が気になるところではあるが、EBRIETASは満員ではなかったものの異様な盛り上がりだった。100インチスクリーンに向かって声援を飛ばしたり、手拍子をしたり…。久々の「生中継」だったのでかなり緊張感を持っての観戦だった。昔はそれが普通だったのに…。
まぁ、確実に集客は上向いている。これも“レインメーカー”王者オカダ効果なのだろうか?
それに加え今大会に限っていうと柴田、飯伏といった新鮮な外敵と、ブレイクした石井、悪党派に転身したデヴィットらが注目を集めた格好だ。
そんな中でも本命はやはり王者クラス達であり、優勝もその中から出るに違いないと思われていた(と思う)。7日目を終わったところで
Aブロック…真壁、スミス、柴田が10点、棚橋、オカダが9点
Bブロック…中邑、鈴木、アンダーソンが10点、永田、内藤、高橋、ベンジャミンらが8点。
という大混戦。昔なら「同点選手による優勝戦進出決定戦」をやるところであるが、「同点選手同士の対戦成績」で決まるようになってからはスンナリ決まってしまい面白くない。逆にいうと同点選手以外に一番負けている選手が進出する訳なので…。
Aブロックは9点の2人が抜けるだろうと思われたが、王者オカダがまさかまさかの敗戦で脱落。しかも勝ち越しすらできない大事件。
Bブロックは中邑、ではベタ過ぎるし鈴木やアンダーソンも流れからすると何だし…。永田、高橋、ベンジャミンは10点の3人に戦績で厳しい…。そんな混戦を抜け出したのは復帰したばかりの内藤だ。中西は参戦を見送った程過酷な大会だというのに!

≪8月2日後楽園≫
この日はラスト3試合が有力選手が敗戦したため、ファンは「イヤァオ」も叫べず「金の雨が降るぞ」も聞けず、「愛してま~す!」で締められず…少し欲求不満に陥ったものの、内容的にはさすがG1!
【第1試合】B 〇アンダーソンvsベンジャミン
悪党同士の一戦もベンジャミンに声援集まるが、ガンスタンであっけなく。
【第2試合】B 天山vs〇高橋
有村千佳嬢を連れてひんしゅく買う高橋に対し、天山に声援集まるがムーンサルトかわされ逆ムーンサルトで敗れる。
【第3試合】B 〇永田vs矢野
場外戦やコーナーポスト外した攻撃で矢野ペースで進むが逆にコーナー金具を利用され、最後はバックドロップホールドで青義が勝つ。
【第4試合】A デヴィットvs〇アーチャー
現時点一番ファンの罵声が多いデヴィットはファレの介入を駆使するが長身から繰り出すブラックアウトでアーチャー完勝。喜ぶTAKA。
【第5試合】A 〇小島vs柴田
柴田は場外戦を仕掛けて積極的にペースを握るがあと一歩攻め切れず、最後はカチアゲ式のショートレンジラリアット炸裂。
【第6試合】A 真壁vs〇スミス
体格差は歴然も真っ向勝負を挑む真壁も技のかわし合いからラリアット→ブルドックボムでスミス勝利。
【第7試合】B 内藤vs〇飯伏
スターダストジーニアスvsゴールデンスターの注目の一戦。空中戦に備え足の攻め合いから始まるが、コーナーから場外へのムーンサルトを敢行した飯伏がフェニックススプラッシュで大勝利。
【第8試合】B 中邑vs〇鈴木
ハイレベルな攻防が続くが中邑はクネクネしながら攻撃加えると場内「イヤァオ」の大合唱。張り手の雨降らせゴッチ式パイルドライバーを決め鈴木が激勝。
【第9試合】A 〇後藤vsオカダ
場外戦で優位に立ったオカダだが、追っかけ式ラリアットを食らいレインメーカーをかわされ雪崩式牛殺しから昇天・改で王者完敗。
【第10試合】A 棚橋vs〇石井
後楽園男石井に人気が集まり棚橋にブーイング。一進一退の攻防が続くが何と頭突き合戦。凄い音が響く。激闘の最後は垂直落下式パイル“イシイドリラー”で逸材を超えた!

≪8月10日両国≫
この日までに後藤と天山が負傷欠場。注目の後藤vs柴田が流れてしまったが、好カードをラインナップして勝負の大会だ。
【第1試合】KUSHIDA、●キャプテンvs〇YOSHI-HASHI、飯塚
飯塚が客席をかき分け野上アナを襲うお約束でスタート。アイアンフィンガーでレフェリー引き付けている間に如意棒攻撃で決着。翌日試合する桜庭が登場し飯塚を挑発した。
【第2試合】A デヴィットvs〇スミス
ファレとTAKAが乱入合戦。デヴィットも体格差をファレで補うクレバーな戦法もスミスのパワー殺法に屈しタイガースープレックスからブルドックボム葬。
【第3試合】B 〇アンダーソンvs高橋
今日は蓮実クレアと羽月希の2人のセクシータレントをはべらかす高橋がインカレスラムで追い込むがガンスタン一発で昇天した。
【第4試合】A 小島vs〇アーチャー
いっちゃうぞエルボーもサポーター外しラリアットを封じたアーチャーがコーナートップからのブラックアウトを成功させ小島の夢砕く。
【第5試合】B 矢野vs〇ベンジャミン
入場直後に襲われてDVD発売告知を邪魔された矢野はしばらくペースが掴めずも、何と背中越しにコーナーポストを外す器用さを見せる。椅子攻撃をレフェリーに阻止されアンクル地獄にタップ。
【休憩後】
タイツ姿の柴田登場。「今正直プロレスが楽しいです」で大歓声。1試合できなくなる悔しさを明日の棚橋にぶつけると宣言した。
【第6試合】A 〇真壁vs石井
ラリアット合戦、エルボー合戦の後カウント1返し合戦と意地の張り合いもキングコングニーで大激闘制す。試合後もやり合うも両者大ダメージ。
【第7試合】B 飯伏vs〇鈴木
外敵?同士の異色注目対決。飯伏も負けん気が強く意地を張って向かっていく。空中戦で迫るが有無を言わせないゴッチ式パイルに沈む。
【第8試合】B 〇内藤vs中邑
トップを走る中邑を止めたい内藤だが中邑ペースで進む。ジャーマン、ドラゴンスープレックス連発しスターダストプレスで夢をつなぐ勝利ゲット。
【第9試合】A △棚橋vs△オカダ
ここで黄金カード。棚橋の徹底した足殺しでオカダ大苦戦。オカダはレインメーカーも封じられるがハイフライフローも不発にし、タイムアップドロー。

≪8月11日両国≫
さすがに超満員の優勝戦。YTR選手にお願いした席だけあって「矢野通は僕達の太陽」という垂れ幕前の2階席最前列をゲット。向正面のためシャッターチャンスが後姿になってしまうが非常に見やすい。またゲストにゴン中山が解説席に着いた。
【第1試合】B 〇永田vs高橋
今日は柚木しおり、初美沙希を引き連れ高橋登場し、永田を下品にコキ下ろす。怒った永田は白目式腕折りから大☆中西ジャーマン、バックドロップ、エクスプロイダー・オブ・ジャスティスで有終の美。
【第2試合】B 〇矢野vs鈴木
すっかり名勝負数え唄になりつつある対戦。DVDを叩き落とした鈴木は「ヤノ、トオ、ルウ」ポーズを徹底して阻止。矢野の攻撃を読み切って攻める鈴木も足取り押さえ込みで敗戦。
【第3試合】B 中邑vs〇ベンジャミン
いつもの通り海老反りでコールを受ける中邑を上から潰しブーイング浴びるベンジャミンは逆海老反りを披露。ジャンピングボマイエ耐えペイダートで大物食い。
【第4試合】B 〇内藤vsアンダーソン
昨年のファイナリストも今やブーイング浴びる対象だが、勝てば優勝戦進出のアンダーソンと勝てば10点で並ぶが上位とは優勢な内藤。ガンスタンを封じた内藤がブルマブランカでギブ奪う。何と内藤が抜け出した!
【第5試合】A 〇アーチャーvsスミス
勝てば12点と抜けるスミスの相手はタッグチームのアーチャー。その昔なら八百長試合でスミスが勝つはずも、それはマズイと察したか、実力でアーチャー勝利。
【第6試合】A 真壁vs〇デヴィット
勝てば12点と抜ける真壁をゴリラマスクでおちょくるデヴィット。ファレが何度も介入し、レフェリー2人ノックアウトし椅子だらけの真壁にフットスタンプ~ブラディサンデーで真壁の夢散った。
【第7試合】A 〇小島vsオカダ
勝てば望みが出るオカダに対し、欠場した盟友天山のモンゴリアンチョップも繰り出し頑張る小島は第三世代の意地でレインメーカーをラリアットで返し、最後もカウンターのラリアットで完勝。オカダ2連覇ならず。
【第8試合】A 〇棚橋vs柴田
元“新・闘魂三銃士”の対決。こちらは欠場の後藤の得意な牛殺しを繰り出し野望に向けて柴田が飛ばすがもう一人の盟友KENTA譲りのGo2Sleepを丸め込んだ棚橋が抜けた。
【第9試合】飯伏・曙・〇桜庭vs✕YOSHI-HASHI、石井、飯塚
飯塚はこの日も野上アナを狙い顔を銀色スプレーに染め上げた。このG1でブレイクした飯伏と石井、桜庭と飯塚が敵対する。桜庭がボコボコに殴ってからのサクラバロックで勝利。飯伏と石井が番外戦するも野上アナ入れて勝利の勝どき。
【第10試合】優勝決定戦 棚橋vs〇内藤
徹底した足殺しに内藤苦しむ。ハイフライフローは背中に食らうが正調は傷めた膝で剣山で受けてしまう。棚橋必死にテキサスクローバーを繰り出すがドラゴンスープ、グロリアと畳み掛けスターダストプレスで内藤大逆襲の初戴冠果たす!
【試合後】
場内大歓声で内藤を称える。ゴン中山からG1カップを授与された。顔を洗った野上アナがインタビューで「オカダの前に、まーずーはーNEVER、田中から行きたい」と完敗した田中へのリベンジを優先した。「夢は新日本プロレスの主役になること」「新日本プロレスの主役は、俺!」と宣言した。

ということでまた新たな流れができた。9月の神戸大会では内藤vs田中のNEVER王座戦が行われる。まさかここで負けてしまうとIWGP挑戦権がどうなってしまうのか?しかも内藤で1.4まで引っ張るのか?内藤が王者になっても“金の雨が降る”のか…?
今後は内藤と、負けが込んだオカダの巻き返しに注目だ。

けどやっぱりG1最高!